We love music!

六本木のジャズ・クラブ All of Me Club には、一枚のメモリアルな写真が飾られている。

1953年、ノーマ・グランツが率いる『JAZZ AT THE PHILHARMONIC トーキョー・ライヴ・アット・ニチゲキ』。
エラ・フィッツジェラルド、オスカー・ピーターソン、クルーパなどアメリカを代表するスターら25名が羽田に降り立ち、
江利チエミ、笈田敏夫やビッグ4とともに撮った記念写真。
私の父が日本に読んだジャズ・ライブ。
その写真の中には、グランツの横に、当時まだ18歳だった私の姿もある。

1950年代はスウィング・ジャズの黄金時代。バラエティーにとんだ数多くのライブ・ハウスで、
大好きな美酒や煙草を片手に、連夜、私はスウィングしていた。
かけがえのない素晴らしい青春だった。過ぎた時はかえらないが、その記憶は今も若く、新鮮に生きている。

All of Me Club が、20週年を記念して、このたびCDを制作した。
大都会の片隅の、小さな「箱」の中で愛され続けてきたジャズ音楽が、いま、無限の聴衆に向かい広がっていく。
ファンはもとより、これまで関心がなかった方々も、一人でも多くのハートを魅了することを願っている。

(石井一/元国務大臣・ジャズ評論家/20週年記念CDブックレット寄稿文より)